光の館

11月末、車で都内から3時間ちょっと。新潟にある「光の館」に行ってきました!

光の館は「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2000」で制作された、ジェームス・タレルの作品。彼の作品は、金沢21世紀美術館や直島の地中美術館にもありますが、光の館では宿泊滞在ができます。
建物自体がタレルが谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』に構想を得た作品で、日中も見学することができますが、《Outside in》の日没と日の出のプログラムは、宿泊者のみが体験できるもの。光の館を訪れる際は泊まることをおすすめします。

訪れたのはよく晴れた温かい日でしたが、町は冬を迎える準備を済ませてありました。
今年は初雪が早かったそうで、少し前に降った雪が残っています。ここから冬が始まって、これからどんどん雪が積もっていくのです。

大地の芸術祭の屋外作品は、11月になると冬支度をはじめ、公開休止になるものも多くあります。光の館も通年公開ではありますが、天気に左右される《Outside in》は行ってみないとコンディションがわかりません。前回訪れた時は朝は凍結のために屋根は開けず、数日前も雪で天窓を開けることができなかったとか…。この日は天気も良さそうなのでひとまず、ほ。

日没のプログラムは16:30からスタート。
チェックインを済ませた後、《Outside in》の屋根を開け、畳に寝転がり、天窓によって四角く切り取られた空を眺めます。ただ切り取るだけで、いつも見ているはずの空が特別なものに見えてくるから不思議。開けた窓からひんやりとした空気が流れてきます。

陽が暮れて、徐々に暗くなっていく空に合わせて天井の照明が変化していきます。
様々な色に移り変わる天井と、だんだんと暗くなっていく空。視覚の作用によって空の表情がぐるぐる変わっていきます。

人間の眼は、繊細で、周りに左右されやすい。
写真に撮った空を後から見てみると、そこにあるのはただただ暗くなっていく青い空なのに、あの時は黄色がかっていたり、緑がかっていたり、赤みがかって見えていました。

色は、見ている人それぞれの脳で知覚されるものです。同じことを一緒に眺めていても、もしかしたらそこに見ている色は違うかもしれない。見えていることは自分にとっての真実であるけれど、すぐ隣にいる人の真実であるかはわかりません。

空をネイビーブルーと見ている人もいれば、深緑と見ている人もいる。見えている空の色を言葉にし合ったときに、僅かなズレを感じました。

食後、すっかり夜になってから灯りを消すと、四角く開いた夜空は満天の星空に。
窓からの月明かりが四角く壁を照らすのみの薄暗い部屋でぼんやりと星空を眺めていると、飛行機が通ったり、小さく星が流れたり。夜空にも表情があります。

翌朝のプログラムは、5:35スタート。今度は明るくなっていく空を眺めます。が、30分ほどで雨が降り始め、畳を濡らすわけにはいかず、窓を閉めることに…。うーん残念。

「見る」「見える」「見ようとする」…とはどういうことか?
純粋に空と、タレルの施した館内の光の美しさを味わいつつ、人がものを「みる」という行為について、いろいろと思い巡らす時間でした。

光の館は、タレルの希望で、少人数で行くと他のグループとの同泊になります。
同じ空を、知らない人と一緒に見上げて、言葉を交わす。旅先で、一期一会の出会いだからこそ、オープンな気持ちになれたりもします。
私もイギリスから来たリックとジュリーにヨークシャーの素敵な彫刻公園を教えてもらいました。ああ行きたい。。
ヨリミチミュージアムのコンセプトにも通じる空間と時間。季節を変えて、何度でも再訪したい場所です。

光の館(宿泊は要予約)
http://hikarinoyakata.com


kondo 2Writer:こんどう のりこ

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